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質問、米油っていいんですか?にお応えして

読者の方から質問をいただきました。
Q
フライには米油を使っています。米油はいいのでしょうか?

米油は、一価不飽和脂肪酸が多く、熱に強い油です。ですから炒め物やフライに使うのは、良いと思います。
ただし、ノルマルヘキサンという石油系化学薬品で抽出する搾油法で搾られている可能性も高いので、圧搾絞りか、抽出法でない米油を選ぶことをおすすめします。


抽出後高熱で溶剤は省かれますので、その物質の残留はないとされていますが、
その溶剤を揮発させるなど幾重にも行う化学的な加工段階で、
元の原料からは、程遠い不自然な油になっていき、

私たちの身体の消化に負担がかかりますから、おすすめしません。

 

Q米油は、米を搾ったものですか?

 

米油は白米に精米した時に出る米ぬかから作られています。

米ぬかから取れる油分は大変少なく、実際に圧搾機械で試してみましたがどうにも搾ることができませんでした。ですから、たいていの場合は、溶剤で溶かす抽出法が使われています。
米油の原料、米ぬかは、日本人の主食お米の精米の過程で出るものです。
米ぬかには農薬が残留していますので、油には含まれていないと思いますが、

より低農薬のお米から油を搾っている農家もおられるようです。
米油の背景の生産者の米つくりや搾油法にも目を向けて、

顔の見える生産者の米油を購入させてもらうことを願います。

Q2 他にフライや炒め物に向く油はありますか?

 

フライや炒め物には、白絞めごま油もおすすめします。

ただ、残念ながら胡麻の90%は輸入ですので、

そういう意味では、日本の大地からの恵みである米油の良さは大いにあります。

 

ごま油の良いところは、ごま自体に油量が多いので、圧搾絞りされています。
フライや炒め物に向くのは、クリーム色をしたごま油です。

高い温度を加えずに搾油したもので、白絞めごま油として販売されています。
ごま油も、生産者がわかる製油所で作ったごま油がいいですね。

 

Q3 でもフライや炒め物に使うには、値段が高くて使えないです。

 

確かに、天ぷらにフライ物はサラダ油などをたっぷり鍋に入れて作ります。

その油を濾して何度も使っているのが常識的な油使いです。

ですが実はこの油の食事、戦後にアメリカと大手日本の製油会社によって、

推進された大量生産輸入型食文化改造計画の一環で進められたのです。

戦前までは家庭にフライパンもありませんでした。

鍋釜の煮炊きのご飯文化でした。
天ぷらは、一般家庭なら年に一度あるかないかでした。

戦後ごはんは頭が悪くなるという本まで出版されて、それをうのみにして、

フライパン運動がキチンカーで、日本全国に広まりました。


疑いもなく、マクドナルドにあこがれ、多くの家で朝食はパンになりました。

パンにも油が大量に入っています。それに加えて「食べるプラスティック」といわれるマーガリンです。
それが当たり前だと思ってきたのですが、

その油が引き起こすといわれる生活習慣病は増えるばかりです。

油の原料は、農家が作るのに、手間暇がかかります。
そこから搾る油は、とても貴重です。
どうでしょうか、炒め物には、バターやごま油を使い、フライものは、焼く方法に切り替えることはできないでしょうか。
私も春先は山菜の天ぷらが欠かせません。たまのごちそうとしてごま油や米油を小さめの鍋に1センチくらい入れて、両面をフライする方法をとってはいかがでしょうか。油はほとんど使い切り、卵焼きでもすれば、きれいに食べることができます。


Q4 炒め物に何を使ったらいいのか、いつも迷うんですよ。

「何を使ったらいいのか」に表れているように、私たちの多くは油を道具として使っていると思います。食べているという感覚がないのです。
ですから、栄養価や原料、搾り方まで想像してということがないと思うんです。

 

私たちは油のことを、ずっと、焦げ防止と、天ぷらやフライの揚げ油の為の道具としてしか見なかったのではないでしょうか。
でも実は食べているんですよね。

果物ジュースと一緒です。油は、その原料の一部を食べています。

例えば

オリーブ油とごま油では、まったく違うものを食べています。
ですから油を選ぶときに、その原料が自然を尊んで誰が作ってくれているのかを知って食べることが、そろそろ必要ではないでしょうか。

 

炒め物としても、使う油は食べて栄養になる油を使いたいですよね。
油は、私たちの30兆個もある細胞膜を作ってくれる栄養です。

脳の60%を占める脂肪になります。
ですから、搾油法は抽出法ではなく、食べたい油で、熱に強い油を選ぶといいと思います。
そうなると、米油、ごま油、オリーブ油といったところでしょうか。

お米の糠をとるのか、胡麻をとるのかオリーブを食べるのか、そんな想像で、選んでみるのも新鮮ではないでしょうか。
ただし、米油やオリーブ油でも溶剤抽出法で作られているものもありますので、しっかり調べてみてください。


 

こんなふうに、油の原料や、生産者を思いやる、製油方法を知ることで、

私たちの食べている食がより、土の恵みと繋がり、

倫理的にも健康になるのではないでしょうか。

 

医食同源、食べることが健康や病をいやしてくれる薬にもなることを思い出すことができます。